2019/09/21
旧市街を抜け新市街に入ると何か様子が違う。違和感の正体は、人がほとんどいないことだ。メイン通りの両サイドには様々なお店が軒を連ね、多くの地元民や観光客で賑わっていたが、今はお店も開いていないし人もいない。昼間にこの状況は明らかに異質で、映画かゲームの中にでも入ったようだ。なんでだろうと思ったけどそういえば今日はシャバットだ。イスラエルにはシャバットという休日があり、毎週金曜の夜から土曜の夜までの間全てのお店がクローズする。朝から何も食べていなくてお腹減ってたのに・・・
ホテルの近くでタクシードライバーに声をかけられた。お客もほとんどいないんだろう。3人のタクシードライバーは車から降りてタバコを吸いながら暇そうに話をしていた。
「タクシー乗らないか？」
「タクシーはいいや。お腹減ってるんだよね。開いてるレストラン知らない？」
「今日はシャバットだから夜まで全部閉まってるぞ。車で20分くらいの街は開いてるからそこまで行こう。」
「本当に？どっか開いてるところあるでしょ。」
「本当にどこもやってないぞ。乗れ。」
「本当になかったらまたお願いするよ。」
とタクシーの勧誘をかわし、初日と同じホテルにチェックインした。フロントで開いてるお店はないかと聞くと、旧市街と歩いて数分の場所にあるストリートだけは開いてるらしい。理由はわからないけどやっぱりあるよな。ビジネス的には大チャンスだし。観光地だし。そういえば旧市街はなんで開いてたんだろう。
部屋に入って少し休憩した後、そのストリートに行くと本当にお店はオープンしていて、さすがにどの店も人がいっぱいだった。その中から比較的すいていたピザ屋に入りピザとスプライトでお昼をすませた。
これから何しよう。ここまでやってないとなると行く場所が全然ない。とりあえず外に出て近くのベンチに座ってガイドブックを眺めてみる。シャバットの日でも学校はあるんだろうか、どこからか制服の子供たちが走って前を過ぎていく。いい天気だなぁ。もうなんもしなくてもいいかもなとも思った。結局思いつくところといえば開いていた旧市街。何度行ってもいい場所だし、それ目的で戻って来たところもあるから思い残すことがないよう散歩しよう。
旧市街に着くとシャバットは全く関係なく、いつも通り、いつも以上の賑わいを見せている。お土産を探しながら今まで通ったことのない道を歩いていく。途中ヨルダンから一緒に入国した日本人グループに再開した。みんなここしか来るところがないんだろう。
中々見つからないスーツケースに貼る用のステッカーを探しながら、通ったことのない道を通ってどんどん迷い込んでいく。印象的だったのは、大人が屈まないと入れないような小さな入り口というか穴を抜けた先にアパートに囲まれた小さな広場があって、広場には太陽の光が良く入って、優しい風が吹いていて、見上げると洗濯物が風で揺れていた。一瞬スローモーションになったような感覚があって、旧市街自体十分異国なんだけど、なんかもっと別の世界というかそういうところに入り込んだ感覚になった。
奥へ進んで行くと観光用のお店だけでなく住宅も沢山あるようだ。こんな場所にも普通の生活があるんだなぁ。たしかに市場みたいのあるし生活は普通にできそうだ。戻れなくなりそうだったので適当なところで栄えてる方面へと進行方向を変えた。
ちょっと迷いながらもスタート地点に戻るとお腹がすいてきたので目の前にあったレストランでオムレツのプレートを食べてホテルへと戻った。朝早かったのでそのままお昼寝をしてしまった。
起きると外は暗くなっていたがシャバットの終わる9時にはまだまだ時間がある。特にやることもないので今日で最後になる夜のエルサレムを散歩して時間を潰すことにした。さっきも行ったのにまた旧市街へ。昼と夜とで印象が大きく変わるので、弾丸にせず、是非どちらの時間も行ってみてほしい。最後だし、夜だし、やっぱり人との思い出のある場所は少し寂しくなる。嫌な寂しさではないんだけど。
新市街へ戻るとお店がオープンしていて徐々に街に活気が戻ってきていた。とはいえそれほどお腹が減っていなかったので、ずっと気になっていたスープのお店で軽い夜ごはんにすることにした。頼んだのはスープとパンのセットとオレンジジュース。触感が残る程度に野菜を裏ごししたスープは多分味付けをあまりしていないのだろう。素材の味が濃厚なのに塩味はあまり感じなくいかにも体によさそうな味だった。パンも黒パンでバターではなくオリーブオイルがついてきた。そしてオレンジジュースはその場で絞ってくれる100%ストレート果汁のもの。このオレンジジュース海外では良くみかけるんだけど日本でも普及してくれないかな。今まで飲んでたオレンジジュースがなんだったんだろうって思うくらい美味しいから。オーストラリアのレストランで初めて飲んだ時美味しすぎて2杯飲んだ思い出がある。オレンジジュースに1000円以上って考えるととんでもないけど。
どこかへ飲みに行ってもいいかなと思ったけど予算的に厳しくなってきていたのと、それほど人が増えていなかったので、ゆっくり夜のエルサレムを噛みしめながら、思い出に浸りながらホテルへと戻った。次はいつこれるかな。というか次はあるんだろうか。住みたいとまで思えた場所は久々だった。
Travel Diary 